昨年末、田舎に帰省し墓参りをしました。本家の墓所の隣に叔母さんの家があります。山の中腹で高台に位置し、隣の島も見える景色の良い平屋です。墓参りの後で叔母さんと話をしました。他愛のないで世間話をした中で、腰の曲がってしまった叔母さんはうちの家がよく見えるようにと隣地の崖の上の草刈りをして、遠くて家の中迄は見えませんが、停まっている車が動いたとか、明かりが点いたとかを見て、我が家の安否を気遣っていたそうです。うちの母親とは小姑にあたる為に、母とはあまり仲が良くはありませんでしたが、歳月は流れ、親戚もほぼ亡くなってしまった現在、叔母さんからすれば仲が悪かった事は過去の想い出です。意地悪されたと主張する母の誤解かもしれませんし。叔母さんは当然ながら父の妹であり、一緒に育っていますので笑いの壺も父と似ており、話をしながら父を想い出して懐かしさが溢れて来ました。その叔母さんの我が家を密かに気遣う気持ちに感動したのです。正月2日に叔母さんは乳母車を押して慌てた様子で我が家にやって来ました。高台の自宅からうちを見たら、大きな黒い布が掲げられているように見えたとの事で、うちで何か起きたのか心配になったのだそうです。叔母さんの見間違いだと思いますが、足腰の弱くなった叔母さんがわざわざ来てくれた事に兄共々喜びました。叔母さんは母を見舞い、父の墓参りをしてから帰られました。
さて、父親には兄も2人居ましたが弟も2人居ました。父のすぐ下の叔父さんは子供がおらず、数年前に他界しました。仲の良かった叔母さんが、花の栽培を生業としていた叔父さんから家とビニールハウスが何棟か建っている広めの屋敷を相続しました。去年の夏にお墓参りに寄った時、「みっちゃん、叔父さんの家はいらんけ~。」と問われました。藤井風の「帰ろう」と云う唄を知っている私は、死後あの世に何一つ持って行けない事をその唄から学びましたので、お断りしました。腰の曲がった叔母ちゃんは娘が来た時に車に乗せて貰っては一緒に草むしりに出かけていたらしいのですが、不動産の管理が大変との事でした。
今年に入っての後日談です。役場に相談した叔母さんは町で叔父さんの不動産を引き取ってくれないかと泣き付いたらしく、その後町が引き取る場合の条件が提示されました。固定資産税10年間分の先払いと、解体して更地で引き渡す事が条件だそうです。敷地内の端っこに叔父さんは誰よりも立派な墓を建てていたのが仇となりました。墓を親戚の墓がある場所にでも造っておけば第三者に売却出来た可能性がありますが、敷地内に建てた墓が一般販売にはネックとなりますので、結局役場に引き取って貰うしか無かったようです。ゴールデンウィークには母の顔を見るのと同時に墓参りに帰省するつもりですが、その頃には叔父さんの屋敷は墓所以外は無くなっているかと思います。既に10年分の固定資産税約70万円は払い込んだと聞いております。因みに解体費用は700万円の見積もりだそうです。相続した不動産は負動産に化けてしまった訳です。
皆様が相続した不動産は実は負動産なのかもしれません。利用予定が無い場合、近くの不動産屋に早めにご相談下さいね。
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